2016年5月23日月曜日

5・21「原発事故被害者集会」開催!



5月21日、千駄ヶ谷区民会館で、福島原発告訴団・福島原発刑事訴訟支援団の主催による、『ただちに公判をひらけ!東電3被告の刑事裁判』『汚染水放出告発 福島検審は起訴議決を!』原発事故被害者集会を開催しました。
会場はほぼ満席。事故から6年目に入り、復興・帰還・安全が声高に叫ばれ、被害を矮小化する動きが強まる福島県ですが、この事件の責任を徹底追及する声を、これからも上げ続ける覚悟を共有しました。

◆プログラム
13:30 開場
14:00 開会
      告訴団の現状報告   武藤類子(告訴団団長)
 支援団の現状報告   佐藤和良(支援団団長)
 賛同人スピーチ    高木久仁子さん(
高木仁三郎市民科学基金理事)
 弁護団スピーチ    保田行雄弁護士
甫守一樹弁護士
大河陽子弁護士
 原発被害者リレースピーチ
小澤洋一さん(代読) 南相馬
・避難勧奨地域の会
和田央子さん  放射能ゴミ焼却を考える福島連絡会
菅野経芳さん  川俣町山木屋からの避難者
蛇石郁子さん  郡山市会議員
菅野みずえさん 浪江町からの避難者
古川好子さん  富岡町からの避難者
高済コズエさん(代読) 二本松からの避難者
アピール採択

16:00 閉会



◆リレースピーチより
二本松市から熊本市に母子避難し2度の震災に遭われた高済コズエさんのメッセージ

 「5・21 原発事故被害者集会」にお集りの皆様、お疲れさまです。
東京電力福島第一原子力発電所の事故から丸5年以上の月日が経ちました。
5年という時間は、無駄に過ごせばあっというまに過ぎ去ってしまう程度のものでしょう。
しかし、ここにおられる皆様が歩んだ5年間というものは、とても厳しく、苦労に苦労を重ねたものであったと思います。
時には希望がみえにくくなったこともあるでしょうし、心身ともにお疲れになったことは1度や2度ではないと思います。
それでも歩む足を止めず、声を出すことをやめずにいてくださったおかげで、
「法の下で原発事故の責任の所在を明らかにする」ためのスタートラインに立つことができました。
皆様の努力でできたスタートラインは、原発事故によって被害を受けた私たちにとって、絶望の中の一筋の光明となり、この先歩むであろう、さらに険しい道を照らしてくれると信じております。

本来ならば何があってもこの場に駆け付け、共にさらなる声をあげたいのですが、先月起きた熊本地震で被災してしまい、参加することが叶いません。メッセージという形での参加をお許しください。
我が家は幸い、テレビや新聞などで報道されているような、ひしゃげた家屋のようにはなっておりませんが、相当の被害を受けました。しかし、被害を受けた家屋の多さから、家を直す順番がいつ来るのか予想がつかない現状です。
そして、今後この家に住み続けることができるのかという、家屋の損壊度合を正式に判定してもらう順番も待っています。
修理にかかる金額次第では家を取り壊すと大家さんが言っておりますので、その時は家を出なければなりません。今住んでいるところは借り上げ住宅制度を利用しているのですが、住み替えた場合に住宅支援の対象になるのかがはっきり分かりません。福島県は「熊本市に聞いてください」としか言いませんし、熊本市は緊急事態に対応するので精いっぱいですので、この先私はどうなるのかわかりません。先が見えずにとても不安です。

しかし、住宅事情と同じくらい不安なのが、「観測史上類を見ない」度重なる地震によって、こどもの心に傷を負わせてしまうのではないかということです。
そのために、私は子どものことを考え、4月16日から5月16日までの一か月間、鹿児島県に避難しておりました。

避難先は、現在日本で唯一稼働中の原発、川内原発から30km~40km圏内という場所に位置しておりました。当然原発事故に備えているものだと思いましたが、念のために役所に詳細を確認しましたところ、残念ながら福島で起きた原発事故の教訓は全く生かされていないと感じました。
自治体は一番の基本である、原発事故が起きた場合にどう対応するのかを、何も考えていません。
ヨウ素剤を配る体制も、避難経路も考えていないと申しておりました。
またニュースでは地震が起きるたびに、「川内原発には異常がありません」と繰り返し発表し、原発の安全性を強調しています。
さらには、鹿児島で地震があっても、他県の情報は地図を使ってテレビで表示されるのに、鹿児島だけ取り上げられないことが多々あります。

これに対しては、常日頃から脱原発を訴えている人たちだけではなく、一般の方々も多少なりと怒っていました。
例えば、先日いった鹿児島の美容室の店員も、「鹿児島だけ地震の震度をテレビで取り上げないのは、原発があるからだって、みんな怒ってます!」と語気を強めて話していたので、私も一緒に怒ってきました。

また、普段は原発問題に言及しない熊本の方々も、この「観測史上類を見ない地震」に危機感を覚え、「今だけでいいから川内原発の稼働を停止してくれ」と声をあげています。
しかし残念ながら、そういった声はかき消されています。
かき消すだけならまだしも、産経新聞では、「反原発派、熊本地震を利用 揺れ想定の70分の1、不安あおる 川内運転停止署名に12万人」という記事を出し、熊本地震を逆に利用し原子力の安全性を強調してきました。地震と原発が怖いと訴える普通の人たちは、非科学的な反原発の人達の妄想に騙されているだけだと言ってきました。

これは、原発事故が起きても誰も責任を取らなくてよいという、無責任な世の中の非常識がまかり通っているからこそ言える暴言だと、私は考えております。
産経新聞のこの記事は、鹿児島に生きる人たちの人権をないがしろにしているだけではなく、観測史上類を見ない地震により、原発事故が起きるのではないかという熊本の人たちの恐怖心をあざ笑い、福島の悲しみと苦しみの5年間を全否定しています。
不愉快極まりないです。

そしてこんな異常な地震が続く中、原発を平常運転させている国と九州電力の気が知れません。今回の熊本地震は、震源が川内原発からほんの少しだけずれていたために、今のところ被害が川内原発に及んでいないだけということを、国も九電も理解できないのでしょうか。熊本が順調に復興していくためにも、今すぐにでも原発を止めてほしいです。
私は、決して今回の地震の被害を軽く考えているわけではありません。
家を失った方や、命を落とされた方のことを考えると、今も胸が張り裂けそうです。しかし、原発事故のない自然災害からの復興は、福島のような歪んだ復興の道を歩むわけではないことを知っています。今回の地震から立ち直った先には希望が見えます。

もちろん熊本も、アスベストなど、有害物質の飛散問題はあるにしても、
この先の熊本は、「食べて応援」も「観光で応援」も全国の方から批判なく受け入れられると思います。福島のように「人が汚染されている」と言われることもないと思います。
福島県民でもある私からすると、少しうらやましい気もしますが、大規模自然災害が起きて、そこから立ち直っていくことは、地震大国に住む私たちにとっては、はるか昔から何度となく繰り返されてきた光景です。

その自然の営みの一つである、自然災害からの復興の形を大きく変え、福島が本来歩むべき復興を妨げ、私たちの豊かな福島を壊したのが東京電力なのだと、今回の地震を経験して、改めて思いました。
福島で起きた放射能汚染問題という悲劇は、私たちの生存期間をはるかに凌駕している問題です。私たちの死んだ後も続くであろう問題を、子孫に残さなければならないのは、本当に申し訳ないことです。
未来のことを考えると、心が折れそうになりますが、人類史上最悪の原発事故を起こした企業への責任をとことん追及できるのは、原発事故被害者である私たちしかいません。
折れそうな心を奮い立たせて、原発事故の責任の所在を明らかにし、私たちが、今後の日本の原子力政策に対しての抑止力となりましょう。
福島で起きた悲劇を日本のどこでも、誰にも味あわせないように、みんなで頑張りましょう!



◆集会アピール
柔らかな若葉がみずみずしく輝く初夏が、今年もやって来ました。
このまばゆい命の美しさを、心からは喜べないまま時が巡っていきます。
原発事故から6年目を迎える福島では、さまざまな復興策が勢いを増し、しかし一方で深刻な困難を抱えたまま被害が見えないようにされています。
国は、来年3月には原発事故避難者への住宅支援を打ち切り、多くの避難者の存在を消し去ろうとしています。
甲状腺検査では、子どもたちの甲状腺がんとその疑いは166人となり、転移や再発があるにもかかわらず、被曝の影響は考慮しないとされています。
原発周辺町村以外のモニタリングポストを移設撤去して、もう汚染は存在しないかのように見せようとしています。
熊本を震源とした、九州全体を揺るがす地震が頻発する中も、川内原発は止められることはなく、福島原発事故の教訓を生かそうという姿勢はみられません。
なぜ、被害者が救われないのか。なぜ、命と暮らしを優先する社会へと変わらないのか。それはやはり、事故の責任がまだきちんと問われていないからです。
事故の責任を明らかにし同じ過ちを食い止めるとともに、困難の中にある被害者の救済をしなければなりません。そして、今も増え続ける汚染水について、利権のためではない抜本的な対策を講じなければなりません。
そのために、私たちは汚染水告発の起訴と、一日も早い公判の開始を望みます。
一人でも多くの人に、責任追及のための裁判の意義と、明らかにされていく事故の真実を知らせていくことが告訴団、支援団ひとりひとりの責務です。
人類が同じ悲劇を二度と繰り返さないように、これからの時代を歩む人々のために、命を大切にする道が僅かでも開かれるように、私たちは力を尽くしましょう。
福島原発告訴団、福島原発刑事訴訟支援団は、これからも力を合わせ、たゆまずにこの道を進んで行きます。

2016年5月21日
「原発事故被害者集会」参加者一同


◆風のたより――前いわき市議会議員 佐藤かずよしのブログ
ただちに公判を!原発事故被害者集会